夏の危険、脱水症状が招く肉離れのリスク

夏の危険、脱水症状が招く肉離れのリスク

夏の訪れとともに、私たちは熱中症への警戒心を高め、適切な水分摂取を心掛けることが一般的です。

しかし、脱水症状という見落としがちな危険が、肉離れというケガを引き起こす可能性があることを知っておく必要があります。

夏のアクティビティにおいて、脱水が招く肉離れのリスクを考えてみましょう。

 

脱水と肉離れの関係

脱水症状は、体内の水分が不足することによって起こることがあります。

夏の高温環境での活動や汗をかくことによって、多くの水分が失われるため、脱水症状はより顕著になります。

脱水が進行すると、筋肉や腱の柔軟性が低下し、その結果、肉離れのリスクが増加します。

 

脱水によって血液中の電解質バランスが崩れ、筋肉の収縮能力が低下するため、急激な運動や負荷がかかる動作が肉離れを誘発する可能性があります。

 

体の電解質の役割とは

体の電解質は、体内で電気的なシグナルを伝えるために重要な役割を果たす化学物質のことを指します。

 

これらの化学物質は電気的に帯電したイオンとして存在し、細胞間や神経系で情報伝達や筋肉収縮などの生体機能を制御します。

 

主な電解質には以下のものがあります

 

ナトリウム（Na+）

ナトリウムイオンは細胞外液中に豊富に存在し、細胞膜を通じて電気的な信号伝達や水分バランスの調節に関与します。

 

カリウム（K+）

カリウムイオンは主に細胞内液中に存在し、神経伝達や筋肉収縮、細胞内の酸塩基バランスを調節する役割を果たします。

 

カルシウム（Ca2+）

カルシウムイオンは神経伝達や筋肉収縮だけでなく、骨や歯の形成、血液凝固、細胞分裂など幅広い生体機能に影響を与えます。

 

マグネシウム（Mg2+）

 マグネシウムイオンは酵素反応の補因子として働き、エネルギー生成やDNA合成、神経伝達などに関与します。

 

これらの電解質は、正確な濃度バランスを保つことが健康維持に重要です。

不適切な電解質バランスは、神経や筋肉の正常な機能に影響を及ぼす可能性があります。

特に運動や高温環境下での活動では、多くの水分とともにこれらの電解質も失われるため、適切な補給が必要です。

 

この電解質を含む食品は当院のブログ「夏の夜、脚がつる原因と予防法」に掲載していますので、ぜひご参照ください。

https://senjudo-seikotsuin.com/2023/08/12/causes-of-leg-cramps-and-how-to-prevent-them/

 

脱水対策と肉離れ予防

 

適切な水分摂取

夏の高温環境下での活動では、こまめな水分補給が必要です。

水分不足が脱水を引き起こし、筋肉の柔軟性低下と肉離れのリスクを高めます。

運動中や外出先で、水筒を持ち歩いてこまめに水分を取りましょう。

 

電解質バランスの維持

 汗をかくことで失われるナトリウム、カリウムなどの電解質を適切に補給することも重要です。

特に長時間の活動や激しい運動を行う際には、スポーツドリンクなどで電解質バランスを保つよう心がけましょう。

 

適度なウォームアップとストレッチ

 

突然の運動や急激な動きは、筋肉や腱に負荷をかけることがあり、肉離れのリスクを高めます。

運動前には適切なウォームアップとストレッチを行い、筋肉を柔軟に保つことを心がけましょう。

 

無理な負荷の回避

 脱水状態のまま、無理な運動や負荷をかけることは、肉離れを引き起こす可能性があります。

体が適切に水分を保ち、十分なエネルギーを持つことで、筋肉や腱にかかるストレスを軽減しましょう。

 

休息とリカバリー

 適切な休息も肉離れ予防の鍵です。

過度な運動や活動を続けることで筋肉の疲労が蓄積し、肉離れのリスクが増加します。

十分な睡眠とリカバリータイムを確保することで、体の回復力を高めることができます。

 

脱水による肉離れのリスクを最小限に抑えるためには、水分補給と適切な体のケアが欠かせません。

これらのポイントを実践して、安全で健康的な夏の活動を楽しんでください。

 

筋肉が痛い、肉離れになったかなと思ったら

もし、「筋肉が突然痛くなった」、「もしくは肉離れになったと」と感じた方は、当院にすぐにおしらせください。

そのうち良くなると思って放置したり、自己流で治療すると返って悪化することもあります。

痛みが出たら、早期に手当てすることが重要です。

 

まとめ

夏の危険は、熱中症だけでなく、脱水が招く肉離れのリスクも含まれています。

適切な水分摂取と体の準備を怠らず、安全な夏のアクティビティを楽しむための知識と注意を持ちましょう。

脱水が進行すると、肉離れなどのケガだけでなく、全身の健康にも悪影響を及ぼす可能性があるため、予防策をしっかりと実践することが大切です。

健康的で楽しい夏を過ごすために、適切な情報を身につけて、体を大切にしましょう。

 

（監修　柔道整復師　田井　勇次）